COLUMN

コラム

おすすめの本:思考と行動における言語

第18回目のおすすめの本を紹介していただくのはエンジニアのOIさんです(入社6年目)

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私のおすすめする本は S.I.ハヤカワ『思考と行動における言語』

コミュニケーションに用いる「言語」の特徴から、「言語」が伝える、情報的な意味だけではない、その意味を捉え直した本です。
代表的なエッセンスを抜き出すと次のような感じです

●コトバは物ではない (「地図が現地ではない」ように)
●話している内容の抽象化、具象化を適切に行えるようにしなければならない。(抽象のハシゴを上下する)
●断定は思考を止める
●文脈を無視することはバカげている
●コトバには情報を伝えることと感情に影響をあたえることの2つの働きがある
●感情的なコトバは、ゴロゴロと唸っていることと同じ
●たとえば「警察は弱いものの味方である」といった場合、これは目標や指令であって、情報を正確に表すものではない。
などなど。

大学生のころ、先生から個人的に勧められて読みました。
自分の言葉の使い方や、考え方の未熟さに驚いたこと、足りなかったものを発見したような気がしてうれしかったことを、今でも覚えています。(友人には鼻高々に本の内容を話していましたね)

あとで理解したのですが、この本は「一般意味論」という分野に位置づけられて、1980年台のアメリカでは、基本的なコミュニケーション教育として中心になっていたとのこと。
学問としては「言語」についてあまりに基本的な事柄を述べているにすぎないので、「(一般意味論は)人の発言は注意しなければ誤解を招くかもしれない、と言っているだけだ」という批判もあります(発言の主は言語学の巨人「ノーム・チョムスキー」)。

なので人によっては、読んでも当たり前すぎてピンと来ないかもしれませんね。

この本を読んで「言語」の基本的な理解を深めた当時の私ですが、ただ、コトバの使い方や考え方は、スポーツと同じで、知識を得たからといって、そのまま使うことができるようなものではありません。
読んでから20年経った今、やっといくつかは実践できるようになったかな、と思っています。