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コラム

おすすめの本:嫌われた監督 落合博満は中日をどう変えたのか

第21回目のおすすめの本を紹介していただくのはエンジニアのKKさんです(入社3年目)

………….

おはようございます。
※あらかじめ断っておきます。今回紹介する本は一部の方にしかささりません。

私がおすすめする本はこちらです。

『嫌われた監督 落合博満は中日をどう変えたのか』

野球好きの方にはぜひ読んでいただきたい本です。

タイトルにもあるとおり、本書は選手時代に唯一日本球界で三冠王を三度とり、
より良い契約を求めて球団を渡り歩き優勝請負人とまで称された落合博満氏が、
中日ドラゴンズで監督として指揮を執った2004-2011年の物語です。
落合監督を公私にわたって取材した鈴木忠平さんの主観で主に語られていきます。

ここで少し私の幼少期のお話になります。
私は愛媛県の、それはそれはのどかな地域で育ったため、当然のごとく
野球中継は巨人戦しか放送されておらず、えてして巨人ファンになりました。
当時の中日からはとにかく点が取れない印象がありました。
その頃の記憶と照らし合わせながら読んでいくと、落合さんは
「投手が1点もやらなければ試合に負けることはない」という至極当然な結論を
地で行くように投手陣に成長、意識付けをさせていったとのことです。

また、本書では落合さんが球界内外で賛否を巻き起こした騒動について、
どのような考え方をもってそのような決断を下したのかが記述されています。
・日本シリーズで8回までパーフェクトピッチングを続けた山井投手の9回交代劇
・中日で選手だった落合さんと監督だった星野仙一さんの確執
・WBCボイコット
などなど・・・
メディアで取り上げられるとどうしても落合さん側にネガティブな報道に
なりがちなのですが、落合さんにはチームの勝利、ひいては自分や家族のために
曲げられない信念があることがわかります。

本書を通して私が考えたのは、本気で人のことを思う、とはなにかということです。
私の学生時代に、「授業中にほかの教科の自習をしていいよ」と言う物理学の先生と
「課題を解いてこなかったらクラスで連帯責任」と言う数学の先生がいました。
安直な私はその物理学の先生を優しい先生だなあと思い、数学の先生を鬼教師😡と
思っていたのですが、実際成績は、物理が伸び悩んだのに対し数学がぐんぐん伸び、
果たして本当の優しさがあったのはどちらの先生なのだろうと思うことがあります。
本書でも、落合政権下で実力がメキメキ伸びた選手からは、その後の取材で
落合監督への印象を問われ、「心の底から優しい人」と回答する人が多いのです。
選手のことを思い、安易に答えを提示しない落合さんのやり方は見習うべきだと感じました。

最後少しハートフルな感じになりましたが、本書のテイストはこんな感じではなく
当時のドラゴンズの裏側を写実的にドキュメンタリー調で綴っています。
まあとにかく野球好きで、特にこの頃の野球を見ていた方ならなおさら読んで損は絶対ないです!