COLUMN

コラム

おすすめの本:ミッドナイト・ライブラリー

第22回目のおすすめの本を紹介していただくのはエンジニアのMHさんです(入社3年目)

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私の紹介する本は、マット・ヘイグ『ミッドナイト・ライブラリー』です。

帯の謳い文句にもある通り全英で大ヒット、世界43カ国で刊行されているそうで、つい先日邦訳版が発売されたばかりの一冊です。

物語は、主人公が様々な不運と困難に直面し、人生に絶望して自殺を図るところからスタートします。
しかし、目覚めると主人公は生と死の狭間にある「真夜中の図書館」にいます。
そこには自分の選択しなかったあらゆる人生が本として所蔵されており、主人公はそれらを体験することができるというのです。
様々な”自分にあり得た別の人生”を通して、主人公は自分が本当に歩みたかった人生とはどんなものなのかを見つめ直していきます。

私がこの本のあらすじを見て絶対に読もうと思ったのは、小学生の頃に似たような夢を見たことがあったからです。

私は「真夜中の図書館」ではなく「夢の図書館」と呼んでいたのですが、人は誰しもが一生に一度だけ夢からその図書館に行くことができて、そこにはその人の将来に関する本が所蔵されている、という内容でした。
本の冊数は人それぞれで、私は自分の将来が書かれた報告書のようなものが一冊と小説が一冊、自分が絵本作家になって出版したという絵本が一冊でした(最後は当時絵画教室に通っていたからだと思います)。
一冊だけ選ぶことが可能で、選んだ本の未来は絶対に叶うけれど、起きてしまうまでの時間も人によってまちまちで、一度起きてしまったら二度と戻れない、というルールでした。
私は結局決断できず、一冊も選ぶことができないまま起きてしまい、同じ夢はそれ以来見ていません。

これは所詮小学生の見た夢なのですが、あの時どれかを選ぶことができていたら、今どうなっていたんだろうと思うことがあります。

本書はそんな想像をより鮮やかにさせてくれ、私にとっては懐かしさも感じさせられる一冊でした。
そして何かしら諦めた夢や後悔のある人にとっては、それらと向き合い、前を向く手助けとなってくれる物語なのではないかと思います。
438ページと少し分厚いですが、一章ずつは短めで少しずつ読めるので、普段あまり小説を読まない方でも読みやすいかなと思います。
ご興味があればぜひ読んでみてください!