COLUMN

コラム

認知バイアス

第37回目のコラムはエンジニアのHSさんです(入社1年目)

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お疲れ様です。エンジニアのHSです。

突然ですが皆さんは自分の直感をどの程度信用されていますか?
私は経験的には自分の直感はあまり信用ならないと感じているのですが、どうしても直感に頼って意思決定や行動してしまうことがあります。
今回はそんな直感に関する脳の機能「認知バイアス」についてお話したいと思います。(私の専攻分野というわけではないので、話半分程度にお読みいただければと…)

●認知バイアスとは
我々人間の脳は常にさまざまな思考・判断を要されています。例えば、今私がこの記事を書くにあたり、デスクで書くのか、ソファで書くのか、はたまた外出して書くのかという何気ない意思決定さえ、脳による判断が下されています。実際今はソファで書いているわけですが、その判断に対して私は論理的な意思決定のプロセスを踏んだわけでもなく、ただなんとなくでソファを選択しています。
このような何気ない意思決定において、毎回論理的なプロセスを踏んで思考・判断していては、時間もかかるし、脳への負担も大きいでしょう。
そこで、何気ない判断へのリソースを節約しようと、脳内で無意識的に働く機能があります。この機能のおかげで自然に一定以上の判断は行えるようになっています。
事実、私もリラックスしてゆったりと執筆可能なソファを無意識的に選択していたわけです。
とまあ、便利な脳機能なのですが、残念ながらこの機能には落とし穴が潜んでいるんですね…
それが「認知バイアス」です。
今回は主に人間関係における認知バイアスの例をいくつかご紹介したいと思います。

●対応バイアス
我々は、ある人が何かしらの行動をとった時に、その行動の要因を考える傾向にあります。これを「原因帰属」と言います。
この原因帰属を行為者の性格や能力などの内面にあると決めつける傾向が「対応バイアス」です。
例えば、遅刻した人に対して、遅刻の原因を本人のだらしなさによるものと根拠のない決めつけを行ってしまうことです。実際には、電車の遅延や体調不良などの本人にはコントロールし難い要因も考えられるはずです。
このように、人の行為はその人の性格や能力によるものと考えがちになってしまいます。しかし、一歩引いて考えてみれば、内的要因に限らず、複雑な状況(外的要因)が絡み合った結果であることはわかるはずです。
また、逆に自己に関する原因帰属は外的要因を重視する傾向にあるそうです。これは「行為者-観察者バイアス」と呼びます。

●代表性ヒューリスティック
何かを認知する時に、対象から得られる情報を全て精査するというのは容易ではありません。そこで、大まかな情報からおおよその認知に近づけようとする脳の働きがあります。
この脳の働きによって、人や物を経験的にカテゴリ分けされたジャンルと結びつけて認知してしまうのが「代表性ヒューリスティック」です。
例えば、相手の見た目に対する第一印象に関して、背の高い人に対してバスケやバレーをしてるのかな?と思うことやスタイルの良い人にモデルさんかな?と思うことなどがこれにあたります。
この程度の疑問であれば、たとえ相手に投げかけたとしても、不快感を与えることは少ないかもしれません。しかし、人種や国籍、性などとなると差別や偏見へとつながる可能性があります。
直感的に想起されてしまうことは脳の特性上仕方のない部分もあるということを理解して、反射的にそれを口に出さず、一旦相手の立場になって考え直すことが大切です。これによって、より円滑な人間関係が築けると思います。

●フォルス・メモリ
最後に、記憶に関するバイアスを1つご紹介します。
私は、旧友と思い出話に浸っている時などに、ふと「あれ?そんなことあったっけ?」と思うことや、また、実際にはなかった思い出に対して「あー、たしかにそうだったかも!」と思うことがあります。
このような実際に体験していないことを、さも自分が体験したかのように錯覚することを「フォルス・メモリ」と呼びます。
このように、人間の記憶というものは曖昧で、簡単に書き換えられてしまいます。
したがって、重要な話し合いの中で人の記憶を頼りとするのは非常に危険です。自分の記憶も相手の記憶も正しさを証明する方法は存在しません。(やはりログは大事!)
日常会話においても、相手と自分の記憶が食い違っているからといって、相手が嘘をついている!と断定し責め立てるのは、関係を悪化させかねません。
フォルス・メモリの特性を理解して、もしかしたら勘違いしてるかもと対処することで良好な関係性が保てると思います。

●おわりに
今回は人間関係における例に絞って紹介してみました。
しかし、脳の特性である以上、認知バイアスは偏見、差別、組織の意思決定、行動経済学、政治などさまざまな場面で現れます。ご興味ございましたら、どんな場面でバイアスが働いているのか調べてみると面白いかなと思います。

私も認知バイアスに頼って勢いで動いてしまうタイプの人間なので、今回は自分への戒めの意味も含めて記事にしてみました。この脳の特性を理解して自己および他者の判断を観察することで、より豊かな判断や関係が築けるといいなと思います。
(ただ、直感による判断が常に悪で誤っているというわけでもないので、上手く付き合っていくのが大事ですね。)

以上、少々長くなってしまいましたが、最後までお読みいただきありがとうございました。